弾性表面波を用いた通信・光制御デバイス
山梨大学 工学部 電気電子工学科担当
教授 垣尾 省司 電子メール：kakio@yamanashi.ac.jp
ホームページ：http://www.ccn.yamanashi.ac.jp/~kakio/
SAW（Surface Acoustic Wave: 弾性表面波）は，固体の表面に沿って伝搬する弾性的な波動です．地震において縦波と横波の後に続いて地表面に沿って伝わってくる，うねるような振動もSAWです．水晶やニオブ酸リチウムのような圧電性(電界を加えるとひずみが発生する性質)をもつ基板上に設けた，微細な“すだれ状電極”に高周波電界を加えることによって，SAWを励振することができます．図１に示すように，送信側の電極から励振したSAWをもう一方の電極で受信すると，様々な周波数の中から欲しい周波数成分だけをこしとるフィルタの機能をもたせることができます．このSAWフィルタは，小型，高安定な特徴を活かして主にスマートフォン等の移動通信端末に実用されています．次世代通信システムの実現のためにSAWフィルタの低損失化や高周波化が求められており，本研究室では，そのための基板構造や材料の研究を行っています．また，このSAWによってレーザー光をオン／オフしたり，振り分けたりする光制御素子の研究も行っています．本研究室で生みだされたアイデアにより，世界に一つしかないユニークな基板構造や光制御素子を開発しています．最近では，水晶(Quartz)支持基板とLT圧電薄板を異種材料接合させるとSAW共振子の特性が格段に向上する（図２）ことを発見しました．
図１ SAWフィルタの原理図
図２ LTと水晶を異種材料接合させたSAW共振子の共振特性（測定値：赤線）．
LT単体の共振特性（測定値：黒線）と比べて格段に向上している
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